10.12Thu

Live Report 2023/9/10 「祝祭」

 

まだ暑さが残る9月10日。SleepInsde初の自主企画、大久保HOTSHOT共同「HYPER ENFANT TELLIBRES番外編 祝祭」は開幕した。

 

○THE NETMAN

 

「祝祭」はTHE NETMANの「黒鷲」で幕を開けた。柔らかい印象でありながら、力強く会場中に通る魅力的な声で始まったばかりの会場を盛り上げた。

2曲目が終わり、「河童についての曲を持ってきたんで、聴いてみましょう。」というMCと共にキャッチーなドラムが始まり、3曲目「河童の川流れ」を披露。ステージの緑色の照明も相まって、曲の主題を強く想起させる表現力で観客を魅了した。そして最後に披露したナンバーは「ある花の芽」。ギターソロではギターを高く上げ、会場を沸かした。トップバッターとして会場の空気を作り上げた、圧巻のパフォーマンスだ。

 

○Suzuai

 

二番手としてパフォーマンスをしたのはSuzuaiだ。先程までのTHE NETMANとは全く別の世界を作り、ステージ上の全員が魂で音楽をしていることを強く感じさせ、観客も魂の演奏に呼応するように、会場のボルテージはさらに高くなっていた。ステージ上を激しく暴れ回り、一時はギターアンプからシールドが抜けるアクシデントもあったが、それをパフォーマンスに昇華するほどの熱量により、会場は完全にSuzuaiの世界が出来上がっていた。ラストナンバー「路上ガール」が始まると、盛り上がりは最高潮に。

最後は全てを出し切ったようにギターを投げ捨て、最高にロックなステージが終わった。

 

○透明受胎

 

熱いステージが終わった後は、特徴的な声を嚆矢に、透明受胎の空間が広がった。

落ちメロやハイトーンの時に浮き出てくるようなボーカルの声は、唯一無二の透明受胎らしい魅力を増強させ、会場は1曲目ですでに透明受胎の虜になっていた。

MCにて、「僕みたいに暗い歌詞を書いて自分を思い詰めている人でも、もっと楽しくなっていいんじゃないかと思う。どんなに苦しいところにいても、悲しいところにいても、明るい方、楽しい方に向かう力が、自分は美しいと思っている。じゃないと、ここに立ってこんなに楽しくなっている自分を、自分で認めてあげられないと思う。」と、音楽の動機を語った。

最後には「病み中で僕たちは」を披露。このMCの後に聞く透明受胎の曲は、複雑な、それでいて確信的な魅力を放ち、非常に印象深いナンバーとなった。

 

○little girl hiace

 

トリ前にステージ上に上がったのはlittle girl hiace。

MC中の声とは印象がガラリと変わる、優しく包み込んでくるような歌声で1曲目「リトルガールハイエース」を披露し、会場の心を掴んだ。

普段の日常生活でふと流れてきそうな、そんな寄り添ってくる音楽がライブハウス中に響き渡っていた。中でも5曲目に披露した「Eden Trealy」はまるで映画のエンディングテーマのようで、客席では目元を拭う様子もあった。

 

○sleepInside

 

そしてこの「祝祭」のトリを飾ったのは、sleepInsideだ。

会場の観客、スタッフまでもが全員彼らの世界に引き込まれ、心から本気で盛り上がった瞬間だっただろう。彼らの強烈なサウンドが響き渡り、トリにふさわしい最高の盛り上がりを見せていた。

MCでは「ありがとう。今日はまだ気持ちがまとまってなくて、ブログに書くので待っててください。」と共演者への感謝を語る場面も。4曲目には今回のライブのタイトルでもある「祝祭」を披露。今回のライブの主催として、「今日を最高の日にする、最高のライブにする」という矜持を感じさせるようパフォーマンスだった。その気持ちに応えるように、客席からは無数の手が上がっていた。

そしてラストナンバー「銀色世界旅行」で会場のボルテージが最高潮の中「祝祭」の幕は閉じた。

 

今回のライブは出演者全員が互いのことをリスペクトしあっていることを感じさせる今回のイベント。出演者、観客全員の終演後の表情が、この日が、s参加した全ての人への「祝祭」だった事を証明しているのではないだろうか。

 

文:中野汰一